青空が落ちてくる。

are you thinking? われらはシンクタンク『世界征服倶楽部』

はれ。

品川駅



当時不毛だと云われた80年代は、ジョン・レノンの死があって、ブリティッシュインベイション、MTVが起こった。その中でさまざまなバンドの存在があったけど、NEW ORDERは特別な存在だったような気がする。当時からロッキング音を愛読していて初めて聞いた言葉だった。『メタロック』、ロックがロックを批評する。音楽で音楽を批評する。ロック自体が時代を批評する音楽だと思っていた自分には意外な言葉だった。大体批評は言葉でするものではないのか。
当時、NEW ORDERはそこそこ売れたがムーブメントの中心になることはなかった。そして死ぬこともなかった。そして今もいる。
NEW ORDERには、JOY DIVISIONという前進のバンドがある。JOY DIVISIONのリーダは人生か、バンドの行方に絶望して首を括った。イアン・カーティス、21世紀になって彼の生き様が映画化されたみたいだが観ていない。ただひとつ云えることは、NEW ORDERは、頭を失ったJOY DIVISIONの残党が新たに立ち上げたバンドだということだ。イアン・カーティスがどれほどのカリスマだったかは知らないが、日本で云う、戦国、徳川幕府時代の家を存続させ続けた人々の生き様がかすかに頭に浮かぶ。ロックはサブカルチャーな音楽だし、正統なんてある職人の世界でもない。ロックバンドはその場で止めます、解散といえばなくなってしまうものなのだ。神の声を聞けば皇帝になれる古代中国の感覚のほうが近いのかもしれない。
NEW ORDERはイアン・カーティスを殺して下克上して生まれたバンドじゃない。彼を失って、それでも、彼の意思を、継ぎたい、それはどんな? バンドしかなかった彼らを捨てて、彼は逃げたんだ。そう思うしかなかったのではないか。だから、再生された彼らの名前は新たなる意思なのだろう。
NEW ORDERには、JOY DIVISIONという対象化する存在があった。JOY DIVISIONを対象化するということは、彼らにとってのJOY DIVISION、イアン・カーティス、彼らにとってはロックそのものだったに違いない。彼らは、彼らか逃げ出した者を追って今までを来た、それでも不思議はないと思うのだ。
ロックの歴史を生きている。その死をどう受け止めるかが残ったものの役目、死人で商売をするか、それを新たななにかを見出すか。
NEW ORDERは友の死を、金ではなく、金の卵にできた稀有のバンドだろう。