青空が落ちてくる。

are you thinking? われらはシンクタンク『世界征服倶楽部』

2005-01-01から1ヶ月間の記事一覧

「ねえ、訊いていい?」 「なんだ?」 「考えてるの、ここに来てから。ここに来たとき、わたしの姿は違っていた。ユーシーはわたしをミハナって呼んだ。わたしはその名前を知らなかった。ボディーを変えたことはあるけど、それは自分が気に入ったのに変える…

 切り取られた景色

あの音はいつから聞こえなくなったのだろう。 もう一度それを聞きたいと思った。 彼の声、彼の言葉。 たぶん、それはわたしにとって手紙と呼べるようなものだった。そんな気がしている。 それがあるから生きていける。そう思えるようななにか。 今日も生きて…

 ミハナは上昇するエレベーターの中で思いを巡らせる。

ここにいるから安全なのか? ここにいれば安全なのか? 飼い猫か?飼われた猫か?首輪を付けられて何か変わった? より反抗心が深まっただけ。政治的な意図。個人的な意図。これはあなたとわたしの問題。

ユーシーは、目の前でエレベータの扉が閉じる様を見つめていた。その向こうにミハナの姿が見えなくなっていく。 ミハナが教えてくれた。今ここにいるミハナとは違うような気がする。 それでも、ユーシーにとっては彼女は彼女で、彼女がいったい何物なのか、…

 両側が壁に囲まれた小道に入る。

メタルジェニーから逃れたユーシーとミハナは、T字路にぶつかり左に曲がる。 メタルジェニーって、ジェニーとよく似たアンドロイドをそう呼んでいた。もしかしたら、そっちがオリジナルなのかもしれないけれど、調べる前にとりあえず逃げ切らないとどうにも…

 鏡に向かう。

「わたしが自殺した理由ってなんだったの?」 鏡に向かうジェニーの向こうには自分がいる。彼女は自分に問う。自分を追いつめたなにかの正体を。 それを知りたいわけではない。それを忘れているもどかしさから逃れたいのだ。 それを知ったら、振り出しに戻る…

 夢であれば、

ミハナはジェニーと呼ばれていた頃の記憶に辿り着くけれど、ジェニーの意識も、チェスが交換ボディーに他から持ってきた人格を移植したのだと知る。 「(人類の)歴史を見るといい、だがそこに君はいない」 「いや、かならずいるはずだ。見つけてやる」 誰が…

 ジェニーはミハナ?

ジェニーは、ユーシーへのアクセスが確立すると同時に意識を失った。 ユーシーの世界でジェニーは別の、ユーシーがミハナと呼ぶ少女として存在していた。ジェニーとしての記憶はない。かといって、ミハナには知識はあっても過去の記憶はない。 意識が目覚め…

 思い出というには確かな記憶。

「はいこれ」 彼女は見覚えのある手帳を差し出した。 「ありがとう」 自分の手帳が戻ってきた。それが当然だと思い、それ以上は考えてはいかった。 それを彼女は卒業の日、この手から浚っていった。 「もらった」 手帳を手にした右手を掲げ離れていく彼女は…

恐いこと。 本当に恐いことってなんだろう。 死ぬこと? 誰かが死ぬのを見ること? 自分が死ぬって考えたことある? 明日死ぬんだって。 自分で死ぬことと、殺されることと、いつの間にか死んでいること。みんな違う。 わたしもいつかこの世界からいなくなる…

 そう信じていたけど、たぶん違う。

たぶんそうだったんだと思う。でも違った。 自分がきっかけで起こったいくつかの過ちを、その出来事が自分の誤りだったと気づくのだ。 今までそれがどれくらいあっただろう。 考え出すと、罪悪感が止めどもなくわき上がってくる。やりきれない。 自分の存在…

 ウマゴン+サンビームさん、&スケート編

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 隠れろ!

真っ白な紙は書かれることで汚されていく。 ちがう。 そこには構築美が描かれなければ。 止めて。 それでも、戻ることはできない。 わたしはそこから逃れることはできない。なかったことにはできないの。

そんな気がする。わたしは彼を好きだったとき、彼もわたしに惹かれていた時期があった。わたしは彼を見ていたし、彼が振り向くこともあったから。その時期は全く一緒だった訳じゃない。だからすれ違ってしまったのだろうか。気づいたときがあったのに、すれ…

たぶんその先にはなにもない。荒涼とした景色が広がっているだろう。 それでも生きることを選択するわたしは、その先になにを見ているのだろう。 なにもないのに。 生きて、わざわざ死に場所なんて探さない。

 神がいるとしたら、

ユーシーは神様を望んでいる。ミハナは信じてはいないが、神の存在を感じている。 「なんの神様?」 ユーシーはミハナの横顔を窺う。 「信じてないよ。感じているだけ」 それでもミハナは崩れかけた溶岩の塊から目を離さない。彼女には首の落ちた地蔵のよう…

 商隊宿(キャラバンサライ)跡

目覚めたミハナは、砂漠の砦の中に横たわっていた。 砦の内は高い壁に囲われ、冷たく穏やかだった。起きあがって様子を窺っているうちに、チェスに導かれて来たことを知る。 「チェスなのね。どこなの?」

フィルムの記憶。

「だったら扉を捜しに行く」 それがユーシーに対するミハナの意志だった。 けれど、その言葉に引きずられるように意識が遠のいていった。

 たいくつ。でも、だから?

やがてルーレットは回り出す。

 今年のNHK大河ドラマ『義経』が始まった。

その前に、伊勢平氏清盛が名を上げた保元の乱、平治の乱とはどのような戦だったのか。双調平家物語 (9) 平治の巻(承前)作者: 橋本治出版社/メーカー: 中央公論新社発売日: 2002/08メディア: 単行本この商品を含むブログ (3件) を見る双調平家物語 (10) 平治…

 いったいどうなっている。

「一つのカラダに二つの意志は存在できない」 ユーシーの言葉はどこに響いているのだろう。 「どういう意味?」 見返す先には、たぶんなにもない。だから迷うのだ。なぜここにいるのか、どうしてここにいるのか。 ミハナの指先が、ユーシーの手の甲に触れる…

 ミハナはユーシーを見つめている。

寝かされている、眺めていてもいつまで経っても動きそうにない、 透明で不確かな身体がそこに横たわっている。フォノグラムなのだろうか。 「それとも、あなたなの?」 思わず声になった。

 気がつけば、

「一つのカラダに二人の意志は存在できない」 その呟きに目を覚ます。 隣に彼が横わたっていた。

 image?

重なり合う、そのまま融合するような、 粘膜同士の接触は肌のそれとは違う境界が曖昧な感じがして、意識の境界までもひきずられていくような感覚に襲われる。 視界がぼやけて、ゆがんで揺れていた。 身体が重い。 ウォーターベッドに沈み込んで、そのまま底…

 いい加減忘れてたのに、本屋で立ち止まってしまった。また、しばらくつき合うことになるのだろうか。

そっち次第だけどね。 最初の1巻が出て数年後2巻が出たときには、その帯に「もう待たせないぜ」とあったから。Sex 3 (ヤングサンデーコミックス)作者: 上條淳士出版社/メーカー: 小学館発売日: 2005/01/05メディア: コミック クリック: 6回この商品を含む…

 ミハナの景色

そこはユーシーの世界だった。 そこにはユーシーの考えているユーシーがいる。それは、わたしが知らないようなもの? ジェニーはユーシーの考えているミハナとリンクしている。ミハナはユーシーの世界の少女にだった。 ユーシーは、彼が話してるミハナがこの…

 ミハナは夢を見ている。

ユーシーの意識が流れ込んでくる。まともに受けたらやってられない。感情であっても、データに過ぎないんだ。扉の前にいた少女を捜した。 女の子の姿が見える。幼い頃、ユーシーをいじめていた女の子だった。 意識する、すれ違う二人はお互いを見ながら、言…