青空が落ちてくる。

are you thinking? われらはシンクタンク『世界征服倶楽部』

2005-02-01から1ヶ月間の記事一覧

 地面に落ちる影

太陽を横切る影があった。翼を羽ばたく、影が地面を通り過ぎていく。青い空を、通り過ぎる影が足下にも影を映していく。 「なに、あれ?」 「鳥みたいなもの」 空を目で追うミハナは言う。 「見れば解る。どこから来てどこに行くの?」 「向こうから来てその…

 見える景色

どうして、 永遠の眠りについているはずだったのに、 ここにいる。 チェスのせい? わたしの意識を拾い、ジェニーのボディーに移植したのがチェスだった。 マーガリンの染み込んだトーストを頬張り、紅茶をすする。いつもの朝の景色だ。

 なくした記憶

交換ボディーの中には、まれに意識の残っているものがある。それにアクセスした少女は自分の意識も取り込まれてしまった。 自ら命を閉じた少女は、 飼い主のチェスに連れられ、骸になった。 バザールで見つけた交換ボディーに魅せられた記憶喪失の少女ミハナ…

「チェス」 手をさしのべながら消え始めるミハナ。 「ミハナ、行くなッ」 ユーシーの手は空を掴む。彼の瞳にはまだ、彼女の姿が映っている。 彼女の声はどこに向かって消えたのだろう。 あなたは一人になりたっかっただけだ。わたしは、寂しかったんだ。たぶ…

厚い雲が空を覆っている。昼間なのに、明るさが足りない。 湿った空気の匂いがする。 そこから差し込む光が君を導くだろう。 光の当たる部分は浸食され、白い穴になる。手を伸ばしてもその向こうには行けないのだ。

 れあ?

厚い雲が空を覆っている。昼間なのに、明るさが足りない。 湿った空気の匂いがする。 そこから差し込む光が君を導くだろう。 光に侵食されると白い穴になる。指先はその向こうで見えなくなる。だから誰も手首までは差し込もうとはしない。 手を伸ばしてもそ…

写真はコロンヤ

 エレベーターは上昇中

「あーっ、空が落ちて来るみたい」 ミハナは、透明な天井の向こうの空を見上げた。 透明な箱の中にいる。 透明なのは左右前後の壁も、足下の床もだったから、 気づいたときには、わたし達は宙に浮いていた。 「空が落ちるわけないだろ。おれ達が落ちてんだよ…

エレベーターは上昇中

ミハナ「わたしを犯って、そうしたらチェスも終わり。ユーシーがわたしの代わりになる? ならないよね。永遠にここで眠り続けるんだ。死んでるのに」 ユーシー「できれば君が来る前の、ミハナが目覚める前に戻りたかった」 ミハナ「それは無理、もう始まって…

 二人は丸テーブルを挟んで

○二人は丸テーブルを挟んで椅子に座り向かい合っている。 ミハナ「さっきね、ここに来た。チェスとのアクセスが途切れちゃって、どうしようかと思ったら君を見つけた」 ユーシー「チェス?」 ミハナ「わたしの相棒。っていうか、ここに来る前のボディーにわ…

 一人になりたっかっただけ。

あなたは一人になりたっかっただけ。わたしは、寂しかったんだ。たぶん。 ここでは触れることはできるのに、触れられることはできない。 ただそれは、そこにあっただけだった。 ミハナ「ねえ」 ユーシーは目蓋を開く。 仰向けに横になっているユーシーの顔を…

 気配

「走って!」 思わず出た右手のひらに、ユーシーの背中の厚さが伝わる。顔とか見るだけとは違う、布一枚を通して生きている肉体の温もりが伝わってくる。 ユーシーは走り出していた。もう誰に求めることはできない。感電した感覚は、それと出会った瞬間に見…

 モノローグ

彼は彼の世界にいるのに、わたしは誰から彼を守ろうとしているのだろう。彼はわたしを消そうとしていたのに。 チェスとコネクトが外れたわたしは、この世界に存在できないはずだった。それなのに、ここにいられるのは、ユーシーといるからなのだ。そう考える…

 遅ればせながらゲット!

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 止まった時計は壊れてない。

どうしてチェスがわたしを選んだのか。そのことについて考えることは、たぶん意味がない。 チェスは再生できる意志を捜していて、偶々見つけたのがわたしだったというだけだ。 目覚める前の記憶はない。チェスはそれを残さなかった。彼にとって、それは余計…

時々奇跡は起きている。 でもたいていそれは気づかれない。 チェスがわたしを救ってくれたとは思わない。だから、わたしもユーシーを救うとか思ってない。 身体は与えられた。だからなかな、自分になるのがどういうことなのか、よく解らないんだ。わたしはど…

 わたしはわたしを、どうしたいの?

あなたは一人になりたっかっただけ。わたしは、寂しかったんだ。たぶん。 ユーシーに会って思い出した。わたしも、自分で自分を殺したんだ。 目覚めたとき、わたしはペットで寝ていた。チェスは側にいた。 チェスはここでわたしがどうすればいいか教えてくれ…

 思考の先に見える影

ユーシーだったんだ。わたしを狙ってたのは。 チェスとの接続を分断されて、ミハナはチェスに裏切られたと思った。 チェスはジェニーの身体を欲しがっていた。すべてがチェスの企みだと思った。 それでも、チェスはそれをしない。それをすればチェスは存在で…

 でた。

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 エレベーターの扉はボタンを押しても開かない。

「ここで待っていればよかったんだ」 面を上げたユーシーの左手は、握って開いてを繰り返している。 「誰を、なにを待っていたの?」 ミハナはユーシーの横顔を見つめている。 「なにかが来る、いつか。そしてなにが起こるのかは解らない。そういうことにな…

 知らなかったよ、出てたの。

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 ユーシーの見たエレベータの向こう

エレベーターの扉が開く。 そこから出てきた女は、ブロンドの髪を靡かせながら視界から消えた。 一瞬の出来事だった。 伸ばしかけた指先は、毛先を逃し空を掴んだ。靡くブロンドの毛先が指先に絡まる、瞬間の景色が視界をかすめていった。 振り向いたときに…