青空が落ちてくる。

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憂鬱な悪夢、

麦とホップ

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夢をなくした現代中国――映画監督チェン・カイコーさん(夕刊文化)]

(日本経済新聞 夕刊,2011/12/14,掲載ページ 16)

若者よ、伝統文化を学べ
 改革開放後の中国映画の最前線に立ち続けるチェン・カイコー監督。文化大革命下放体験をもつ第5世代の旗手は、経済発展著しい現代中国の若者に苦言を呈する。伝統文化を理解し、夢をもてと。

■23日公開の「運命の子」の原典は「史記」の「趙氏孤児」。医師がわが子を犠牲にして、恩義ある趙家の遺児を救い、敵討ちを果たさせる物語。これを現代的に解釈した。
 雑劇から京劇まで舞台化しているが、彼らは常に忠義の物語として描いてきた。私は忠義と命のどちらが大事かと考えた。確かに忠義のためにわが子を犠牲にしたというのは尊敬に値するが、別の解釈もできるのではないか。
 中国の伝統文化の中で、個人の命の価値はずっとないがしろにされていた。個人の命は大きな社会のために犠牲にして当然だという考え方があった。私はそういう英雄的な行為をする人を尊敬するが、そういう行為は脅迫されてするものではない。自分で望んでするものだ。スローガンの下で行われるのではなく、心の底からそうしたいと思ったときにすべきものだと思う。
 私は医師を心からそうしたいと思った人物として描いた。彼は市井の人で、見るからに英雄ではないが、すごいことをする。そういう人こそ本当にすごいのではないか。
 映画には私の中国の伝統文化に対する矛盾した気持ちが反映している。中国の伝統文化にはいいものもあるが、悪いものもある。今の若者はそういう伝統文化を全く理解していない。若者たちに伝統文化の中に価値のあるものがあり、捨てるべきものもあるということを訴えたかった。

文革を体験した世代は豊かな現代中国の若者との意識の差を痛感する。
 私たちは若いころ苦労を強いられ、困難にぶつかった。それが貴重な財産だった。そうした財産が今の人にはない。今の若者は物質的な苦労はない。教育を巡る状況も違う。昔はたくさん本を読んだが、今の子は勉強しない。なぜなら勉強しても前途に役立たないと考えているからだ。
 人生は矛盾している。非常に安定した社会は非常に保守的な社会だ。安定していない社会だからこそ、何か新しいものをつくろうという欲望や夢が生まれてくる。私たちは安定しない社会で育った世代だ。今の子たちは、自意識は非常に強いが、大きな夢などは生まれてこない。安定した社会の子どもたちは将来が見えてしまう。それが恐ろしい。

■中国映画界の商業主義の強まりも危惧する。
 矛盾に満ちた中で発展している。商業路線を走っていて、映画にとって大事なものを忘れている作品も多い。今の中国映画には夢がない。自分の理想とするものに向かっていくというものがない。
 最大の問題は金が至上のものとなったことだ。どれだけ金を稼いだかで評価され、映画文化は尊敬されなくなった。尊敬されるのは金だけ。文化ではない。映画館数も動員数も日々増えている。でもそれが何をもたらせるのか。
 私自身は結果にこだわらず自分が撮りたいと思うものを撮る。「独り釣る寒江の雪」(柳宗元)の詩のように。魚が釣れるかどうかわからないが、釣りをしていたい。
(聞き手は編集委員 古賀重樹)

 1952年北京生まれ。文革による下放を経て、北京電影学院で学ぶ。84年「黄色い大地」でデビューし、中国第5世代として世界的に注目される。93年「さらば、わが愛 覇王別姫」でカンヌ映画祭最高賞。
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10ミニッツ・オールダーで一番沁みたのが、チェン・カイコーの『夢幻百花』だった。

  • 麦とホップ 350ml (SAPPORO)×2
  • なめらかプリンロール (Domremy)

大した話じゃない。欲しい女とそうでもない男のすれ違い。