2017-05-15 ハムカツ わたしが彼に惹かれたのは、思想とか、理念とか、そういった頭で考えるようなことではなくて、アルジェに住むフランス人は異邦人だったということだったということのような気がする。生まれた土地に帰ることはできるけれど、そこは育った土地ではない。帰ってホッとできる土地ではない。永遠の憧れのようなもので、帰る場所は自分のうちだけれど、仮住まいのような気がする。気がつけば、そこに行けば帰ると言えるような場所はなかった。 最初から戻る場所なんてなかった。そう思わなければ、先に進めない。