青空が落ちてくる。

are you thinking? われらはシンクタンク『世界征服倶楽部』

 ジェニー

「で、一体どうなってんの?」
 ジェニーが足元のチェスをつま先で小突くと、チェスの回転は速くなって軽く跳ねた。
「意識回路のブロックが掛かっている」
「なんとかしなさい。それがあなたの役目でしょう」
 ジェニーが足元に視線をやると、チェスは全身の気を逆立てながら回転を止めた。
「信号は通ってるんだ」
「それって、しかとされてるってこと?」
「そんなとこかな」
「なにか方法は?」
「ジェニーの意識を送り込んでみるとか」
「どういうこと?」
「ダイレクトアクセス、いつもと同じ要領だけど、扉が閉まってる」
「わたしがこじ開ける」
「解ってるね」
「まあチェスに出来るのはここまでだもんね、お互い様か。けどチェスにはなんの得があるんだっけ」
 ジェニーがワイングラスに手を伸ばすと、グラスはレッドで三分の一が満たされる。
「ジェニーが生きていることが、エネルギーになる。持ちつ持たれつ」
 透明、それでも濃厚な紫色の液体が赤い唇に流れ込んでいく。
「時々どっちが使われてるのか解らなくなる。お互い様なんだよね。やって」
 ジェニーは右手を広げてチェスに翳した。


 それが錯覚かもしれないという不安はないの?