青空が落ちてくる。

are you thinking? われらはシンクタンク『世界征服倶楽部』

 れあ?

厚い雲が空を覆っている。昼間なのに、明るさが足りない。
湿った空気の匂いがする。


そこから差し込む光が君を導くだろう。


光に侵食されると白い穴になる。指先はその向こうで見えなくなる。だから誰も手首までは差し込もうとはしない。
手を伸ばしてもその向こうには行けないのだ。


こわいもの。でもそれをそのままにはしておけない。


「そしてわたしはどうなるの? 戻れないの。ここでしか存在できない」
「感じてはいるんだ」
「それもこれもユーシーが…」
「そうなるなら無視して」
 交換ボディーの中にはまれに意識の残っているものがある。それにアクセスした少女は自分の意識も


一度死んだ少女は


飼い主のチェスに連れられ
バザールで見つけた交換ボディーに魅せられた記憶喪失の少女ミハナは、そこに残された記憶に触れることで、自分の存在理由を知ることになる。


どうして、
永遠の眠りについているはずだったのに、
ここにいる。
チェスのせい?


チェスがわたしの意識を拾った。そしてジェニーのボディに植え付けた。
バターを塗ったトーストを頬張り、紅茶をすするのは朝の景色だ。


太陽を横切る影があった。翼を羽ばたく、影が地面を通り過ぎていく。青い空を、通り過ぎる影が足下にも影を映していく。


「なに、あれ?」
「鳥だ」
「それは見れば解る。どこから来てどこに行くの」
「向こうから来てその先へ行く。それだけだ。おれ達はそれを眺めるだけだ」
「壁の向こう?」
「誰も知らない」
「どうして?」
「出て行ったやつはいるが、帰ってきた奴はいない」
「それって、」
「そう、ここですべてが終わってるんだ。ここから先は自分の物語で、共有するかしないか、その向こうまで行ったやつの問題だ」
「それを納得してる」
「つまらないね」
「君がどう思うかは知らない。ぼくは日常が保てて、時々ここに来られて日常に帰れればいい超熟ロール」


日常に変えればいい?