青空が落ちてくる。

are you thinking? われらはシンクタンク『世界征服倶楽部』

 深海魚の見る夢 2

わたし達が出会ったのはバザールと呼ばれる商業地区だった。わたしは客で彼は売り物だった。
わたしは今、彼の記憶装置の中にいる。彼の記憶を覗きながら、時々彼に話しかける。けどまだ彼の声を聞いていない。それでも彼が聞いていることは解る。時々イメージが浮かぶから、それがたぶん彼の意識なんだ。まあ、わたしの存在も記憶の一部になっているのかも知れない。
言葉が通じれば面白いと思う。だから時々、考えもせずに話しかけている。


彼の身体はわたしのベッドに横たわっている。側にはチェスが居るだろう。チェスはわたしのマスターキーだが、意志を持っている。チェスとわたしは表裏一体で、チェスはわたしと繋がっている。わたしが彼の記憶に飲み込まれてしまったら、チェスは彼に乗っ取られるのか、停止してまうのか解らない。どちらにしろ最期まで見届けてくれるだろう。