青空が落ちてくる。

are you thinking? われらはシンクタンク『世界征服倶楽部』

 ユーシー?

「ユーシー起きなさい」
耳元で囁く声。
その台詞を母親のイメージにするか、彼女にするか、姉妹はそういう言い方はしないだろう。
「聞こえているなら答えて」
「だれ?」
答えたのは彼の思い出だった。美花という少女のイメージ。ジェニーとの思惑とは別に彼女はそこに存在していた。扉の前に立つ、ジェニーの存在を拒絶する意志として。
「どうなってるの?」
それがユーシーの意識の下でどういう存在なのかは解らない。それが解らないジェニーには、扉の前で立ちつくすしかなかった。
「どうなっているの、チェス」


「解らない。いきなり出てきたんだ、内側から。でもそいつにアクセス可能だ。そいつにリンクしてみろ」
こいつ、わたしのこと思いっきり拒絶してるんだけど。チェスの指示だから確かなのだろう。扉の前の少女に意識を向けて受け入れる。あっさりと繋がった。アクセスしたい気持ちにされる側が受け入れを拒否しなければ意志は繋がる。それでもそれはあくまでシステムの話で、実際にはあまり気持ちのいいもんじゃない。変な感触だった。
もしかしてゴースト?


そう疑いたくなるような居心地の悪さが肌にまとわりつく、それを拭えない覚悟をしなければならない。
そんなこと誰が言ったの?