青空が落ちてくる。

are you thinking? われらはシンクタンク『世界征服倶楽部』

 エレベーターは上昇中

「あーっ、空が落ちて来るみたい」
ミハナは、透明な天井の向こうの空を見上げた。
透明な箱の中にいる。
透明なのは左右前後の壁も、足下の床もだったから、
気づいたときには、わたし達は宙に浮いていた。
「空が落ちるわけないだろ。おれ達が落ちてんだよ、向こうへ」
「落ちてるんだ。昇ってない?」
「天に昇るのは、」
「昇るのは、気持ちのいいとき」
「死ぬときだけかもな」
「気持ちいいもんじゃないよ」
そういえば、わたしは永遠の眠りも悪くないって思ってた。
空に落ちていくのか。わたし達は。ミハナは思う。
それも箱ごと。


「チェスをどうしたの?」
「おれが引きずり込んだのか。そして、君にアクセスしようとした」
「だから、始末したの?」
「あれを辿ったら君に行き着いたんだ」
「で、不要になったから隠したの?」
「ミハナはミハナでなくなるんだろう?」
「だから、わたしはミハナじゃないの」
「それでも、今ここで話しているのは、ミハナなんだ。おれにとっては」


「止めて、静かにして。寝る」
ベッドに向かう。倒れ込んだ。