君にとって彼は何なんだ?(ユーシーの独り言) underconstruction
ミハナは、
それを聞いてはいけないと思った。チェスがいなければミハナは存在できない。そうなのだ。そういうはず、そういうものだと盲目的に信じていた。
ミハナ「なんだったのだろう」
つぶやきは空しく響く。解っているのだ。でも、声にしたくなるときがある。
今度は、敵は自分自身になる。
ミハナはユーシーの(青い)瞳を見つめる。
ミハナ「わたしは記憶がないの。だから、あなたのように…」
意識が途切れる。
ユーシーを見下ろしている。
知識だけがあって意志がなっかった。
まだ目覚めていないのか。
ミハナ「チェス、アクセスする」
チェス「迷路は勧めないな」
ミハナ「チェスはそう言うでしょう。でも興味があるんだ。ペットを遊ばせるのは不安?」
知っている。ミハナの意志がチェスのコネクションから離れれば、明日には消滅しているだろう。チェスはそれまでに別の意志とコネクトしてなければ、屍になる。それだけだ。能力はあっても余計なリスクは背負いたくない。気持ちは解る。
ミハナ「信用してとは言えない。でも行くわ。手を離さないでね」
それがチェスと向かい合った最後だった。
できることとそれをすることについて、その間にあるものが見えていなかった。
チェスを失ったのはわたしのせい。いなくなる者はいる。それなのに、わたしはどこにも行けない。ちがう、どこにでも行けるの、可能性だけは前にある。でも、それをどうしようもなく、呆然としているわたしがいる。
助けて。
わたしが、いつも叫んでいる声はそう聞こえる。世界は自分自身で、わたしはわたしに向かって叫んでいる。