ミハナ
空が遠いな。
立ち上がった彼女は、彼に視線を移した。
「関わりを望みながら関わりを恐れている。それがあなたの正体なのかな。わたしのなにかなんでしょう?」
「このままチェスのところに戻るのか?」
「探してみるつもりだけど、なに?」
「そうじゃない選択もあるんじゃないかな」
「決めるのはあなたじゃないわ」
「提案だよ。やつが見せる世界とは違う世界があるんだ」
「あの場所は心地よかったの。あの場所があっても、他の場所は見れるわ」
彼には放浪癖があった。だから離れ離れになったのだろう。
それなのに、気がついたときには彼の側にいた。嫌悪感。過去の嫌な自分に合ってしまったような気分。
忘れたかった記憶が目の前にある。
そんな感じなのだ。