青空が落ちてくる。

are you thinking? われらはシンクタンク『世界征服倶楽部』

童話の種②(underconstruction)

その人はとてもゆっくりゆっくりと食事をしていました。スープを飲むのに十分くらいかかったように見えます。ひとさじひとさじを口に含み味わうように少しずつ、お皿のスープはいつまでたっても減らないように見えましたが、それでもいつしか最後のひとさじをすくい上げていました。不思議な、動く画を見ているようでした。
そして、お母さんにいつも言われていることを思い出しました。いつもスプーンを使いなさい。もっと味わってお食べなさいと言われます。いつも、スープはお皿の両端を持ってごくごく飲んでしまうから。おなかが空いていると、早くおなかにしまって一杯になりたいのです。そういう気持ちを満たされたい、って言うみたい。でもそうすると、少しずつ気持ちがよくなって、目蓋が重くなって、いつの間にか眠ってしまっています。


まどろみの中で、お母さんの声が聞こえます。
「寝ちゃったわ。幸せそうな寝顔」
お母さんの胸に、抱きかかえられながら幸せって、心地よい感じなんだって思いながら、まどろみに沈んでいくのでした。