青空が落ちてくる。

are you thinking? われらはシンクタンク『世界征服倶楽部』

 鬱金香

ジェニー、ああいうの、他人を弄ぶのいい加減にしたら?
そのうち痛い目をみるから?
うん。
みてみたいの。


    * 鬱金香(チューリップ)


死ぬのは恐くない。恐いのはそれに伴う痛みだ。
ジェニーの肉体は存在しない。精神系の身体を渡り歩いている。痛みは感じるのだろう。官能を感じると同時に、そこから抜け出すこともできる。そこに留まる理由はない。それってどういうことなんだろう。
そう思うってことは、あなたはここに存在しているってことじゃないかな。わたしは存在していないからそれが解らないんだ。
ジェニーの言葉は、わたしの耳元を空っ風のように通り過ぎていく。


    *


彼女が目をつけているのは察していた。だから誘ったんだ。
おれの下に来い。
跪くのがその役割だった。
不安か?


あの一言をどう受け止めるかは、彼女が決めることだった。
「どういうつもり?」
「結局、どうにもならないんだ。それが解った気がする」
扉が開く。
「一緒に来るか?」
踏み出す。
「行く」
扉の向こうに踏み出した彼女は、彼の背中にしがみついた。
「もう離さない」


    *


やめて。物語は、


いざとなったら、背中から刺せばいいんだ。