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意識はどこから来るのだろう。
「お前はここから出て行かないのか?」
振り向くと彼はわたしを見ている。
「解らない」
解るわけないだろう。出てどこに行くのか、生きたいのか思い浮かばないのだから、ここで生きていくしかないんだ。ここが悪いとか、いいとか別の話だそれは。
「たぶん、わたしもここで死ぬだろう」
「滅びることはは否定しない。でも、おれの記憶を返してくれないか」
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感じは思うもので、感じられないものもある。
あなたはいつもここにいて、わたしはここにいないかもしれないという、曖昧な錯覚。
そんなことをフッと思うときがある。
そこにいるのは誰?
そこにいるのは誰だ?
彼にはもう、わたしは見えない、たぶん。