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チェスを否定しないで。
チェスがいなかったら、わたしはここにいなかったって、ユーシー、知ってるんじゃないの?
どうして目を逸らすの?
答えて。そうじゃないと、今度はわたしがあなたを否定する。
ユーシーを否定することでわたしはなにも得られない。失うだけだ。それなのに、信念を貫くということでなにかを失うなら、
捨てないための行為だと思っていたけど、違うみたいだ。
ユーシー、わたし達はちゃんと話さないといけない。その結果敵対することになっても、結果はどうなるか解らないけど、結局は、それなら納得できるんじゃないかな。
抜け殻のユーシーの身体は雨に打たれている。ミハナはその前にしゃがみ込んで、ユーシーの顔が動くのを待っている。
たぶんそれはそのままなのだろう。
ユーシーはたぶん幸せだった。そして、今でもそうなんでしょう? 時が動くのを待つしかない。そうして、あなたが気が向くのを待つのも悪くない。コーヒーでも飲みながら。