青空が落ちてくる。

are you thinking? われらはシンクタンク『世界征服倶楽部』

 両側が壁に囲まれた小道に入る。

メタルジェニーから逃れたユーシーとミハナは、T字路にぶつかり左に曲がる。
メタルジェニーって、ジェニーとよく似たアンドロイドをそう呼んでいた。もしかしたら、そっちがオリジナルなのかもしれないけれど、調べる前にとりあえず逃げ切らないとどうにもならない。そこに意志はなく、それでも、正体の知れない彼女の姿に追われていること事態が不安を呼び起こさせていた。


並んで走るユーシーとミハナ。
ユーシー「なんだあいつ」
ミハナ 「たぶんわたし。ここに来る前の」
ユーシー「ミハナ?」
ミハナ 「だからジェニーって呼ばれてたの。違うボディーだったの。ここに来て変わったの」
ユーシー「ここに来て変わった? 前は違ったってことかよ」
ミハナ 「ユーシー、わたしのイメージが初恋なんでしょう? ゴメンね」
十字路を右に回って、立ち止まった。ジェニーが目の前にいた?
相対するのはこれで何度目だろう。美形だが無表情のそれを見るたび背筋が冷たくなる恐怖を覚えるが、本当に自分たちを殺すようプログラムされているのだろうかわずかな疑念が浮かぶ。やるはずならいつでもとどめは刺せているんじゃないのか。弄ばれているだけなのか。ゲームなのか。
ユーシー「なんとかできる?」
ミハナ 「わかんない。考えて」
ミハナはユーシーから遅れ始める。振り返るユーシー、立ち止まる。
メタルジェニーがミハナの後ろに立っていた。
ユーシー「ミハナっ」
ユーシーに届かない、目の前でミハナは膝から崩れて倒れる。
ユーシーはミハナを飛び越え、メタルジェニーに飛びかかる。手首を掴みひねり倒す。バランスを失ったそれ、意志のないボディーはあっさりと崩れ落ちる。


ユーシーは、エレベータの扉の噂を思い出す。
ミハナが教えてくれた。今ここにいるミハナとは違うミハナだったのだと思う。それでも、ユーシーにとっては彼女は彼女で、彼女がいったい何者なのか、それは意識されていなかった。