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どうして見つからないの？　ここにあるはずなのに。
建物の構造を考えれば、そこに扉はあるはずだった。
どうして、
そこだと思った場所には白壁があるだけだった。
呆然として、膝が落ちる。
だったら手当たり次第に探すしかない。
振り向きながら立ち上がった彼は歩き出す。
ここは普通と違う。ここがどういう場所か、確かめないと。
「チェス」
呼んでも反応がない。
本当に切れちゃったの？　だったら、わたしはもう戻れない。
そう思ったときから、彼女は腹を決めるしかなかった。この世界で自分が失われない道を探さなければならない。チェスとのコネクションが切れたあと、３６時間が限界だと聞いていた。それまでには消滅しない方法を探さなければならない。手っ取り早いのが、聞いたことのあるエレベータの向こうに入ることだった。