■
同じような話が何度も繰り返されている。飽きもせずに、
*
1.部屋の景色
スイッチが入ると街の夜景が映し出される。カーテンが左右開き、煌めきが部屋の内を照らし出すほどに。中央にベッド、側には全面ミラーのクロゼットがある。あとはバスルームの扉と、出入り口の扉があるだけのがらんとした部屋だ。
チャンネルを変えると、映る景色が変わる。本当の窓に切り替え外の景色を見ることもできるらしいけど、試したことはなかった。
ベッドの中でミハナは目覚める。
窓の夜景は、高層ビルの窓から眺められるような景色だった。煌めくネオンの華やかさはマンハッタン島みたいだ。眩いばかりに人工の明かりが煌めく景色は人工の景色、それを美しく当てられてしまう自分は、その中にしか存在できない個なのだろう。それでも、そんな意識とは別のところで壁一面、四角い枠に抜き出された景色がそこにある。
ベッドの側でチェスが回り出す。
チェスは毛のふさふさした球体で、ミハナはチェスでこの世界に繋がっている。部屋はチェスによって制御されている。チェスはミハナに逆らわないが、常に彼女の側にいる。
ミハナは思う。いくら気まぐれが通っても、チェスがマスターで、わたしがサーバントだ。そしてこの先は、
※2に続く、その先をどこに見出そうというか、