青空が落ちてくる。

are you thinking? われらはシンクタンク『世界征服倶楽部』

 1.部屋

グラスに注がれるのを見ている。
透明で金色、スパークリングワインは目を凝らすと向こう側が見えるけど、液体を眺めているだけでも楽しめる。
内側についた炭酸の泡が数珠繋ぎになって上がってくる。止めどなく。


「チェス」
チェスは回ってみせる。
足下に毛先の触れる感じが心地いい。
「出かける」
立って歩き始めると、狐の毛皮のような玉は、あわただしく転がりながら彼女の先を行く。
なにもかも約束事をなぞっている。それだけだった。
表に出ればリムジンが迎えに来ている。
そうね。
当たり前がここまで来ると管理されているような気がしてしまう。
「見てるの?」
「監視されるのはしかたがない」
「わたしがそういう対象なんだ」
そういう呟きに答えはなかった。


いつまで、わたしに勝たせてくれるの?
ルーレットは気まぐれで、わたしも気まぐれだ。どちらを選ぶの?
昨日勝ったのも偶然なんでしょう?